里浜カーミージーを保全しながら活用するための
ガイドライン 前文



 100年後の子どもたちも、カーミージーの海で学び、遊び、味わえるように。

 それが、私たちカーミージーの海を愛する者の願いです。

浦添市西海岸のシンボル「カーミージー」。

 この周りに広がる浅い海は、かつては子どもたちが遊び、人々が海の恵みを採り、時に祈りを捧げる「暮らしの中の海」でした。しかし戦後、市の海岸の多くは米軍基地に塞がれ、人々の足は海から遠ざかっていました。

 西海岸開発計画が動き出していた2005年、港川自治会はこの海の価値を見直し始めました。自治会はこの海を、自然を保全しながら活用する「里浜」と位置付けます。翌年には港川小学校での環境学習が始まり、2007年には地域の里浜づくりを支える任意団体「里浜ネットワーク」が作られました。自治会、学校、ネットワーク、地域の人々が協力し、学習会やフォーラム、自然観察会、海に親しむ行事などを通して、海の価値が次第に人々に伝わっていきました。そのおかげで、西海岸道路は一部分が橋梁化され、カーミージー周辺の自然海岸が残されることになりました。

 しかし一方で、乱獲等により、海の生物資源は明らかに減少しています。そして、2018年3月の西海岸道路~浦添北道路の開通に伴い、海の利用者の増大と、さらなる環境の変化が懸念されます。


 100年後の海のために、私たちは、カーミージーの海の環境保全を中心に、エコツーリズム(※)の精神のもと、持続的に海を利用するためのガイドラインをここに掲げます。そして、カーミージーの海を訪れる全ての方々に、このガイドラインの尊重とご協力を呼びかけます。


   2018年3月11日   

        うらそえ里浜ネットワーク実行委員会

        カーミージーのルール作りワーキングチーム

 

 ※ エコツーリズムとは:

「自然環境や歴史文化を対象とし、それらを体験し、学ぶとともに、対象となる地域の自然環境や歴史文化の保全に責任を持つ観光のありかた」(エコツーリズム推進会議・環境省)


「旅行者が、生態系や地域文化に悪影響を及ぼすことなく、自然地域を理解し、鑑賞し、楽しむことができるよう、環境に配慮した施設および環境教育が提供され、地域の自然と文化の保護・地域経済に貢献することを目的とした旅行形態」(日本自然保護協会)


里浜カーミージーを保全しながら活用するためのガイドライン 

 


★ これからもみんなが海で遊ぶために



・カーミージーの岩は、地域の歴史を刻む聖地であり、この海のシンボルです。
岩の上の植物や、岩と周囲の環境を大切にします。


・砂浜などの海辺では、子供からお年寄、ハンディキャップのある人も、皆がゆったりと過ごせる環境を保ちます。


・カヌーをはじめとするカーミージー周辺の海でのレジャーは、エコツーリズムの精神のもと、周囲の環境と人々に配慮しながら行います。


・釣りは、周囲の環境と人々に配慮し、マナーを守って行います。カーミージーの岩の上での釣りは、ご遠慮ください。


・海辺の人々の安全と、カヌー等との事故防止のために、原則として(※1)動力付き船舶(ボート、ジェットスキー等)の、リーフ内への侵入・海岸への接近・接岸はご遠慮ください。

  ※1 災害時や人命救助等の場合を除きます。


 


★ これからもみんなが海の恵みを得るために



・販売目的での水産物の採取は、ご遠慮ください。


・自家消費目的のアーサ等の海藻類の採取は、1日に1人1回、にぎりこぶし大までとします。


・地域イベントや学習のためのアーサ等の採取は、地元団体等との話し合いの元で行います。


・海藻類の採取を除き、潮干狩り等による生き物の採取(※2)は、ご遠慮ください。

  ※2 モニタリング調査により資源の回復が見られた際には、ガイドラインを見直す場合があります。


・巻貝の殻は、ヤドカリ類の住みかとなるので、持ち帰らないでください。


 

★ 海辺の安全と環境保全のために



・カーミージー周辺の海辺では、地形・潮汐・天候に注意し、海をよく知る人(※3)と一緒に行動します。

  ※3 今後、ガイド養成を行っていく予定です。


・自分のごみは、持ち帰ります。


・カーミージー周辺の海辺は、禁煙です。


・カーミージー周辺の海辺では、周囲の環境と人々に配慮し、焚き火、花火、飲酒、また暴走行為等の迷惑行為は、ご遠慮ください。


・外来種やペット等の動植物を、植えたり放したりしないでください。


・海の環境保全とレジャーの安全のために、今後、地域や行政と話し合い、利用エリアのゾーニング(区分け)をしていきます。また、そのためのモニタリング調査を続けていきます。


・このガイドラインは、市民に開かれた場で議論しながら、定期的に内容を見直していきます。