毎月1回、大潮前後に合わせて調査している

「カーミージー定点調査」

この間の満月は台風が来てしまって、1回パス。

 

10月から2月頃までの冬場は、大潮でも昼間は潮が引かず、

夜中の干潮時によく潮が引くサイクルに切り替わります。

しょうがないので、冬場の調査は真夜中。3shizen09.gif

で、この時期は新月の方がより潮が引くけれども、月が出ないので夜は真っ暗 … 。

満月の方が海を歩きやすくて、どちらのサイクルで調査するかが悩みどころ。

 

で、そもそも何のために定点調査をするのか、ちょっと書いてみましょう。

この写真は2007年5月のカーミージーです?。

 

定点調査は、いわゆるモニタリング調査の一種で、

毎回同じ場所で、同じ内容のことを定期的に行う調査です。

私たちがやっている定点調査も、カーミージーの海 についてのモニタリング調査です。

何のために定点調査をするかと言えば、「その場所の時間的な変化を知るため」

 

環境というのは、自然であろうと人工であろうと、必ずなにがしかの変化を見せます。

そのとき、変化が起きたらすぐに気づくようにしたい、そして、変化の原因の手がかりを得たい、

あるいは、困ることが起きたらすぐに対策を講じられるようにしたい、

そういうとき、「変化が起こる前」と「起こった後」を比較できることが大事ですよね。

その基盤となる情報を得るのが、モニタリング調査です。

 

そこで、まずは定点をどこにするか決めます。

調査の目的によって、

その調査範囲を代表するような場所を選ぶ、ということもあるし、

何か変化を見いだせそうな場所を選ぶ、ということもあります。

調査のしやすい場所を見つけることも、継続するためには大事な要素です。

 

定点を決めたら、そこで何らかのデータを取りますが、

データは毎回、必ず同じ方法でとります。

海の生物調査では、行動生態を考えて潮位や時間帯なども合わせる必要があります。

ま、実際にはなかなか難しい場合もありますが、

調査する時に、「変化」に関わりそうな条件をできるだけ揃えておかないと、

肝心の「変化」が本当に変化したのか、それともデータの取り方の差によるものなのか、

分からなくなってしまいます。

 

もうひとつ、モニタリングの場合は、

調査そのものが環境の変化を引き起こさないような方法を選ぶ、

ということも大事です。

 

 

カーミージー定点調査 では、私たちは「カーミージー周辺の海草藻場における

海草類や底質の経年変化と海岸道路工事による影響」を知りたいと思いました。

 

海草藻場には自然状態での季節変化もあるし、梅雨時の大雨や、台風の影響もある。

そうした自然のサイクルによる変化の上に、海岸部分の埋め立てと道路工事という

人為的な活動が、海草類の生育や底質の変化にどの程度影響して来るのか来ないのか、

工事前、工事中、工事後に渡って、見守って行く必要があると考えました。

 

しかし!活動できる人員には限りがある。

そもそも、潮に合わせて海に出るので、平日の昼間だったり、冬場は真夜中になる。

お天気にも左右されやすい。

となると、まぁ普通の勤め人にはなかなかできない仕事です。

なので、私たちのように時間がある程度自由になる人でないと、長く続けることが難しい。

そして、あまり手間のかかる調査は、やはり続ける上でだんだん大変になって来るので、

できるだけシンプルで手間のかからない方法が良い。

 

というので考えたのが、

「毎月、決まったポイントに、同じサイズの枠を置いて、同じ方向から写真を撮って歩く」

というやり方でした。

 

海草藻場の中に点々と見える岩を目印にして、

その周囲4カ所に一辺50cmの方形枠を置いて、写真を撮って行く。

枠の中の海草類や、砂の堆積具合が、数値にはできないけれども、写真記録として残って行く。

毎月の、定点調査の詳細は?こちら。図中の赤い岩をクリックすると

そのポイントの写真が時系列で見比べられます。(まだ作成中ですが … 1kao09.gif?)

 

 

これを2009年6月から毎月行っていて、写真を並べて行くと、

夜中の調査や、風で水面が揺れてよく見えない写真しかない月もあるものの

見た目の変化は結構よく分かります。

 

もちろん、写真だけでなく、気づいたことをメモに残して行くことも大事です。

メモの記録と写真を合わせて、同じ人間が同じ調査方法を続けて行くことで、

かなり小さな変化でも気づくことができるようになります。

 

枠の写真以外の、周囲の景色や生き物たちの写真も含めて、月別にまとめたものを

こちら で見られるようにしてあります。

 

はぁ?いつまでがんばって続けられるか … でも工事がまだ終わらないし、その後もあるし。

やっぱり、楽しみながら2kimochi06.gif?続けられるかどうかが、

継続的なモニタリング調査の最大のポイントかもしれませんね。

 

 

デジカメの普及で、写真を気軽に撮れるようになった今、

写真記録によるモニタリング調査は、本当に誰でも、やろうと思えばすぐにできますよ。

身近な自然、海でも山でも、自分のお気に入りの場所で、

同じ位置とアングルで、定期的に写真を撮ってみてください。

季節変化や、経年変化が、そして目で見ているだけでは気づかなかったものに、

気がつくかもしれませんよ。