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沖縄タイムスの『論壇』への投稿原稿
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浦添市港川の空寿崎に、通称カーミージーと呼ばれる岩があります。昔から浦添の海のシンボルのような場所だった、よく飛び込んで遊んだよ、と地元の方に聞きました。 ここから南側の西洲に至る約3キロの海岸は、牧港補給基地があるため人が入れず、自然がそのまま残されています。現在も海草の生えるイノーやサンゴ礁 が広がり、その海岸の広さはため息が出るほどです。 周囲の海岸がほとんど埋め立てられた都会の中で、まとまって残された自然の海はとても貴重です。カーミージー周辺では、港川自治会による里浜づくり活動で海辺の自然が見直され、浜下りや体験追い込み漁、小学校の自然観察会など、地域の人々の行事や環境学習の場として多いに利用されています。 さてこの海岸に、那覇と宜野湾をつなぐ西海岸道路の計画があります。国道58号の渋滞緩和を目的に、基地の沖にまっすぐ道路を通 し、その内側を一部埋め立てる予定です。海岸の埋め立てを伴うため、この事業には環境影響評価(環境アセスメント)が必要です。今、事業者である浦添市土地開発公社が昨年提出したアセス準備書に対し、県の審査委員の先生方が環境保全の見地から意見を述べる審査会が開かれています。 先月から2回開かれた審査会は一般市民も傍聴することができ、私は港川の環境学習に関わっている関係でこれを聞きました。 委員の先生方は、動植物や地質学、工学などの専門家で、それぞれの立場から鋭い指摘をされ、とても筋の通 った意見を述べられていました。 特に問題となったのは、カーミージーに近い北側部分です。計画では、道路でふさがる海岸について、南側は埋め立てるが北側の海岸は埋めずに残し、道路の下にボックスカルバートというトンネルをいくつか開けて海水を通 すことで、環境影響を軽減する、というものでした。 しかし、海水は交換されても流れは弱まるので、土砂がたまるのではないか、その結果 環境が変わって動植物に大きな影響が出るのではないかと、専門家の先生方は大きな懸念を述べておられました。さらに、地元の海辺の利用を尊重するならば、海岸の景観そのものの保全という視点が必要ではないか、そして、ボックスカルバートでなく高架式の橋にすれば、環境への影響がずっと少ないという意見が多く出されました。 港川自治会も一昨年来、道路は少なくともカーミージー周辺を高架にして、昔からの自然海岸をできるだけ残してほしい、子どもたちやお年寄り、またカニやヤドカリのような生き物までが安心して海に下りられる環境を残してほしい、と要請しています。 次の審査会は9日です。道路は作るにしても、大切な自然を極力残せるよう、事業者の方々には、審査会の意見をきちんと計画に反映させて変更すべき所は直し、地元住民も道路を使う多くの県民も、皆が笑顔で納得できる事業計画になることを強く願っています。 |
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2008年5月
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