10月の7〜8日、沖縄県による海岸漂着ゴミの調査に同行しました。
今回は、東京農工大学の高田先生と渡邉先生、
そして防衛大学校名誉教授の山口先生が参加されました。

漂着ごみの中でもプラスチック製品の元となる小さな丸いペレットや、
プラスチック製品が紫外線と海風で劣化して
小さなかけらとなったマイクロプラスチックが、

砂浜の環境や生物にどのような影響を及ぼしているかの調査です。

 私は、砂浜に打ち上げられたマイクロプラスチックを
体内に取り込んでしまいそうな潮間帯生物を探し、

今後の調査・研究に使えそうな種類を提案する役目です。

 今回は座間味島。海の色がとてもきれい!!
左の写真の砂浜の奥の方にある墓石のような建物は、
最新式のごみ処分施設。

きれいなビーチの側なんだから、
もっと目立たないように作ればよかったのにね…。

 ごみ処分施設に行ってみると、海岸漂着ごみを焼却しているのは、
こんな小さな機械でした。処理能力が小さいので、燃やしても燃やしても、
流れ着くごみを処理しきれないのだそうです。
その結果、周囲はごみの山。
写真には写っていませんが、左手には産業廃棄物の山もありました。
島から運び出すのにたくさんお金のかかる離島では、
ごみ処理は大きな問題なのです。

 今回のメインの調査地点。崖沿いの道を浜まで降りて、
長い砂浜を移動して、人の影響が及ばない一番奥の辺りで、
漂着ごみによる生物への影響を調査します。

 砂浜を掘って、潮間帯の懸濁物を食べているイソハマグリを探しました。
この貝は、波で巻き上がる餌と一緒に、マイクロプラスチックを
飲み込んでいる可能性もあります。

 他の浜でも、漂着ごみの状況を確認。
ここにも震災ごみが漂着していました。
以前からあるそうなのですが、

崖下なので、回収することができません。

 他の浜では、全国を歩いて調査した山口先生ですら
見たことがないとおっしゃるほど、
高密度にマイクロプラスチックが溜まっていている場所もありました。
地形、風向き、海流の関係で、集まりやすいようです。

 暑い中、急遽、マイクロプラスチックの定量調査が始まりました。
一定面積の漂着物を砂ごとすべて集め、海水を使って砂とごみを分離し、
浮かんだマイクロプラスチックだけ篩を使って回収します。
ここでの作業は1時間ほどで終了しましたが、研究室に帰ってからは、
何千個ものプラスチックのかけらを分類する作業が待っている、
とても過酷な調査・研究です。

 ちなみに、海を漂うマイクロプラスチックの表面には、
重金属を含むたくさんの有害物質が付着しています。
これは、プラスチックは石油から作られているから。
つまり、海面を漂う脂分や、海水に溶けている有害な化学物質は、
同じ石油から作られたプラスチックの表面にくっつきやすいんです。

 プラスチックを食べただけなら、消化もされずに排出されますが、
表面に付着した有害物質が溶け出て体内に吸収されることが、
大きな問題となっているんです。
これも、これまで私たちが海に汚水を垂れ流して来た結果です。

 山口先生のお話では、沖縄の砂浜に打ち上がったプラスチックは、
太陽の強い光と高温で劣化し、
砂で擦れてマイクロプラスチックになりやすいとのこと。

そして、粉々になったプラスチックは強い風や台風の大波で海に流されていき、
次のプラスチックごみが漂着することを繰り返しているそうです。
特に、粉々になりやすく、泡状なので有害物質を吸着する表面積が大きい
発泡スチロールは、一番厄介だそうです。

 海岸に打ち上がったプラスチックごみを見つけたら、
粉々に小さくなって拾えなくなる前に、とにかく拾うことが重要です。