10月から、沖縄大学で「環境概論」という講義を受け持っています。
学生さんの多くが文系なので、私たちが暮らす沖縄の自然環境について
ざくりと知ってもらうのが講義の目的です。
 暮らしに関わる環境は非常に広範囲で漠然としているのですが、
学生さんの反応や質問を聞きながら、お話の内容を組み立てています。

 そんな中、『サステイニング・ライフ』という書籍をいただきました。
副題は、「人類の健康はいかに生物多様性に頼っているか」。
まさに、講義にぴったり。しっかり勉強しなさい、というタイミング。
しかも、500ページ以上もあって、読み応えがありそう…。

 東海大学出版部のウエブサイトによると、

 「生物多様性の維持がいかに人類の健康で文化的な生活のために必要か」をテーマに、
 生物多様性の喪失が人間の健康に与える潜在的脅威の全てを考察した初めての本。
 人間の豊かな生活が原因で起こる危険について警告している。

とのこと。
気になる内容は…

☆☆☆☆☆☆☆☆(東海大楽出版部のウェブサイトより)
刊行によせて 序文 訳者序文 

第1章 生物多様性とは何か?
 種絶滅率の測定 二次的な絶滅 個体群と遺伝的特性の喪失 結び

第2章 人類の生活が生物多様性に与える脅威
 陸上における生息環境の消滅 海洋における生息環境の消滅 
 淡水域における生息環境の消滅 天然資源の乱獲 移入種問題
 感染症の脅威 環境汚染 紫外線(UV) 
 戦争や武力衝突が環境に与えるダメージ 地球規模の気候変動

第3章 生態系サービス
 生態系サービスの特徴 生態系サービスの経済的価値
 生態系サービスにとっての脅威 結論

第4章 自然界からの薬品
 なぜ天然薬品なのか 天然産物の医薬品としての歴史 
 薬発見の伝統的な医療の役割 南米土着の医薬 
 いくつかの天然由来の薬品の概観 工業国でのハーブ治療薬 
 医薬品の可能性のある食品 殺虫剤および防かび剤としての天然産物

第5章 生物多様性と生物医療研究
 医科学研究の歴史概略 生医学研究における動物と微生物の役割 結論

第6章 絶滅危機にある医学上有用な生物
 両生類 クマ類 霊長類 裸子植物 イモガイ類 サメ類 カブトガニ類 結論

第7章 生態系の攪乱、生物多様性の消失および人間の感染症
 生態系の攪乱と感染症への影響 媒介者、病原体、宿主の多様性と人間の感染症
 生物的制御 種の搾取とブッシュミートの消費 気候変動と感染症への影響 結論

第8章 生物多様性と食料生産
 歴史的背景 農業 家畜(酪農?)生産 水生態系からの食料 結論

第9章 遺伝子組み換え作物(GM作物)と有機農業
 遺伝子組み換え食品 有機農業 複合農業 結論

第10章 生物多様性の維持のために一人一人が何を為すべきか[提案の章]
 自分たちの地球に何をしているのか? なぜ浪費は止まらないのか? 
 生物多様性を保全する方法 多くの声が当局を動かした実例 
 すばらしい業績を残した個人活動家 
 生物多様性の維持に貢献 ‐ 私たちができる10の事柄

☆☆☆☆☆☆☆☆

 この本は日本語に翻訳されたばかりですが、 
原著は10年ほど前に出版され、当時は随分話題になったそうです。
E. O. ウィルソンによる「出版によせて」と、

著者らによる「序文」を読むだけでも、
今我々が暮らす地球の危うい状況が十分に理解できます。

 何十年も前から繰り返し叫ばれてきたように、
今すぐに、我々は正気に戻らなければなりません。