台風19号 Usagi の影響を受けた風がわりと強く吹いていましたが、
満月の前日の大潮、ということで
Nが浦添のカーミージーへ 9月の定点調査 に行ってきました。
いつものように、岩を目印に方形枠(コドラート)を置いて写真を撮ります。
砂茶碗(タマガイ類の卵塊)がたくさん見られました。
タマガイ類は種類によって砂茶碗の大きさや形が違うんだけれども、
この縁がひだひだタイプを作るのはどの貝なのかなぁ。
去年から砂が溜まって来たあたりはずいぶん海草に覆われて来て、
すっかり藻場っぽくなりました。
この辺で、台風の波で削られたと思われる部分を良く見ると、
砂の下の層に茶色いぽつぽつが見えました。
これはリュウキュウスガモの古い葉鞘の部分。触ると腐っていてぐずぐずに崩れます。
つまり、もともとリュウキュウスガモのゾーンだったのが、移動してきた砂に覆われてしまい、
その上に新たにマツバウミジグサなどが生えて来た、
という状態なのが分かります。
海草藻場は、台風などによる砂の移動に伴って、砂をかぶって海草が死んだり、
その上に新たに生えてきたり、
面積も縮んだり広がったりを繰り返す場所なんだなぁと思います。
最近の台風の波でも砂が移動していました。
北東方向から砂を運んでいたようで、白い砂地にリップルマークができています。
でも、台風の波が海水をかき混ぜてくれたおかげで、水温が少し下がってきたのでしょう。
先月、真っ白に白化していたキクメイシに、褐虫藻の色が少し戻ってきました!
この調子でがんばって生き返ってねー。
藻場の真ん中当たりの浅瀬は、やはりまだ水が熱いようで
小さなハマサンゴはほとんど白化したままなのですが、
わずかに茶色が戻り始めているのもあります。
これなどはだいぶ復活途中ですね。
すごいのは、中程の岩に見つけた、外套膜が真っ白になっていたヒメジャコにも
色が少し戻って来ていました!
これもがんばって生き返れ?!
小さなコモンイモ。
身が引っ込んでいる間は良いけれど、
生きてるイモガイは持ち歩かないでね。刺されるよ。
このあたりは、潮が満ちると岸沿いに水の流れが強くなるので、
実は浅い藻場の中よりも岸近くの方が水温が低いです。
なので、岸近くのサンゴの方が元気に復活しつつありました。
キクメイシや、
ハマサンゴの仲間。どちらも茶色が戻っていますね。
ついでにキクメイシモドキもあります。骨格が黒いサンゴです。
… てことは、褐虫藻が抜けると白化ではなく黒化??
んー、それはよく分からないけれども、
元気そうに触手を伸ばしていました。
触手が透明っぽいのは、まだ褐虫藻が少ないのかどうか。
岸近くの砂地にはイソギンチャクの仲間も砂に埋もれるように生きています。
水面直下の浅い岩に、リュウキュウヘビガイがいました。
巻貝なのに、巻きがゆる?い筒状のまま岩に固着して、
殻口から粘液の糸をたくさん出して、これにひっかかる浮遊物を餌として食べます。
サメハダヒメガザミ。砂粒とそっくりの模様で、目を離すともう見つかりません。
上から見ると目の白いヤドカリ。いつもいるのに図鑑では名前がよく分からない …
と思っていたけれど、ウェブでいろいろ調べてみたら、
どうもヒラテヤドカリ?Dardanus scutellatus というやつらしい。
赤地に白い点々で、けばけばなのはコモンヤドカリ。
大型種ですが、小さいうちは浅瀬でよく見かけます。
岸に上がって、工事現場のすぐ足元の岩盤・砂礫地帯に住む
ルリマダラシオマネキ。準絶滅危惧種です。
今日もいいお天気で調査を終えられました。
駐車場の前に、浦添北道路の高架橋の完成予想図が。
左端がカーミージーの岩(空寿崎)、だからこれは牧港の埋め立て地から見た図なんですね。
こんなに距離があるように見えるのかなぁ。
西洲から伸びる西海岸道路の高架橋は、ほぼ岸沿いべったり。
橋の部分の海岸埋め立ては回避してもらったけれど、大きな橋桁が立ち並ぶので
自然海岸そのままの環境とはかないでしょう。
工事が済んで、水の流れや土砂の堆積が新たな環境に合わせて落ち着いたら、
海岸からの湧水などの影響を受けた、この海岸特有の生きものたちが
なんとか適応して生き続けてくれることを願っています。