皆既月食のあった日の、夕方。
風邪ひきMの代わりに、Nに大度海岸へ行ってもらいました。
再び珊瑚舎スコーレの生徒たちと、今夜はオカヤドカリの放幼生観察です。
夏の満月の夕暮れ時、オカヤドカリやオカガニが、お腹に卵を抱えて波打ち際まで
下りてきて、海に幼生(赤ちゃん)を放つ、それを観察しようという訳ですが…
夕方の大度海岸、潮が白く煙るほどに舞い上がっていました。
いつもオカヤドカリ類が無数に出る、崖下のポイントに行きます。
先日の台風波で洗われたのか、以前よりも浜がなだらかになった感じ。
ここで例年なら、暗くなるにつれてうっわ?!という数のオカヤドカリたちが
ゾロゾロと岩伝いに下りてくるのですが、今年はこれも台風の影響か、数が少なめ。
それでもちゃんと、卵を持った個体が下りてきていたので、せっかくの繁殖行動を
妨げないように気をつけながら、みんなで観察をしました。
その様子を写真に撮ったN、デジカメのモニターを見てびっくり。
なんだか、雪が降っているように無数の白い玉が。
空気中に舞う潮が写り込んだ?こんな写真は初めて。俗にオーブ写真と言うそうですが。
ここが激戦地で、慰霊碑やらがたくさんあるから…じゃないですよねぇ?
別の写真2枚ほどには、横から何か強い光が。
撮ったとき、光ってなかったですけど…
6月23日慰霊の日の1週間前だから、じゃないですよねぇ??
まぁ、やな感じはしなかったようなので、いいんですけれども。
…ともかく気を取り直して、オカヤドカリです。
オカヤドカリ類は種類がいくつかありますが、みな国の天然記念物。本来、勝手に
いじってはいけない動物なんです。沖縄では海岸で普通に見られる生き物ですが、
自然のままの良好な生息場所は、護岸の設置や沿岸開発とともにどんどん減っています。
生息環境が保たれなければ、いくら天然記念物に指定したって、守ることができません。
放ちたての幼生を、ケースにすくって撮影してみました。
目ん玉が大きい、小さなエビのような形をした、オカヤドカリの赤ちゃんです。
以前はヤドカリの孵化直後の幼生の形態をグラウコトエと呼んでいましたが、
最近はメガロパと呼んでいるようですね。ちなみにカニの赤ちゃんはゾエア→メガロパです。
岸には、放幼生に下りて来たメスを待ち構えるオスたちもおり。すかさずメスに近寄って
後ろから抱きつき、交尾を迫ります。この写真では3匹が抱き合って…いったいどれがメス?
…おそらく、後ろからもう1匹、横取りしたいオスが来たのかな。
岩陰に、やはりお腹にたくさん卵を抱えたカクレイワガニが下りてきていました。
こうしたカニやヤドカリたちの繁殖シーズンは、6?8月頃の満月前後がピーク。
観察する方は、これから幼生を放とうと浜に下りてきた個体には手を出さないで。
また、ライトで直接照らすと嫌がって戻ってしまいます。ライトの光の端っこの方で
そうっと照らす程度にすればまぁ大丈夫。目が慣れてくるので、観察には弱い光で十分です。
不必要なストレスを生き物に与えないように気をつけながら、観察を楽しんでくださいね。