自分で考えた予想(仮説)を確かめるために、それぞれの予想について
シンプルでわかりやすい実験や観察の方法を考えましょう。

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  ハサミの陰に隠れて、警戒しているヒメシオマネキのオス。

 

 例えば、セミの好きな木があってそれに集まっていると言う仮説をたてたなら、
セミがたくさん集まってる木はみんな同じ種類のはずなので、いろんな場所に行って、
セミがたくさん集まっている木の種類を調べてみるといいでしょう。
もしメスに集まるなら、セミの集団の中央辺りに必ずメスがいるはずですよね。

 魚に食べられないようにナマコが石の下に隠れていると考えたら、
石の下から砂の上にナマコを出して、魚がつつくかどうか観察してもいいでしょう。
自分なりの確かめ方を考えて、実際にたしかめてみて下さい。

 ここで大切なことは、何のために実験や観察をやっているのか、
常に忘れないでおくこと。知りたい事は何なのかを常に考えていることで、
実験や観察をやっている途中に、もっと簡単で分かりやすい
すばらしい方法に気づくかもしれません。

 また、実験や観察の方法まで考えたら、ここからは、友達や
お家の人にも説明して、一緒に手伝ってもらうといいでしょう。
一人では大変なことも、仲間がいると楽しく安全に行なえるようになります。

 実験や観察をする時、1回だけ、あるいは1匹だけの観察では、
偶然変な結果になってしまうかもしれません。何回も、何匹も、
いろいろな所で観察して、実験や観察に間違いがないことを確かめて下さい。
セミの種類によっては、集まり方が違うかもしれません。
「セミが好きな木」と言っても、形が好きとか、手触りが好きなのなら、
もしかしたら木の種類が同じとはかぎりませんよね。
別の種類、別の場所、別のものと比べて、違ったところや同じところを見つけると、
正しい理由を考える時のヒントになります。
最初にたくさん考えた仮説のうち、5個くらいを確かめてみるだけでも
ずいぶんいろんなことがわかってきますよ。

 観察したら、忘れないうちに、結果はすぐにノートに記録しましょう。
可能なら、デジカメで写真も撮っておきましょう。
目的の生き物や事柄だけでなく、周囲の状態も記録しておくと、
あとで思いだすのに役に立ちます。
また、お天気や周囲の人の動きなども、生き物の動きなどに
影響しているかもしれません。実験や観察した時の状況について
できるだけたくさんの情報を記録しておくと、
最後のまとめの時に役立ちます。

 ここでちょっと、注意することがあります。
それは、実際に観察した結果と、それを見て自分が思ったことや感想は、
きちんと分けて記録しておくこと。
結果と感想をいっしょに混ぜて書いておくと、あとでまとめを書くときに、
感想と感想が組合わさった夢の話になってしまうことがあります。
せっかく実験や観察をしたのに、これでは意味がありませんよね。
実験や観察で得られた結果は、自分の感想や思いとは分けて記録しておきましょう。
 また、仮説を考えるときに、絶対これだ!と思う仮説があったりすると、
いろんな結果があるのに、自分の都合のいいことばかり結果に書いてしまいがちです。
これも、科学的なやりかたではありません。

 最初に考えていたのとは違う、予想外の結果が出るのは、
科学の実験や観察ではあたりまえです。
オリジナルの実験や観察をやったなら、誰も知らない初めての結果が出ているはず。
それらの結果をどのように組み合わせるか、どのように組み合わせると
全部をうまく説明できるのか。パズルを解くように考えるのが
科学のたのしいところです。
そして、パズルのピースが足らないとおもったら、
また次の仮説を考えて、実験や観察をすすめて行きましょう。
だんだんといろんな結果が集まって、パズルの全体像が見えて来ますよ。

 最後に、遠くに行ったり、危ない所に行く時は、絶対に1人では行かないこと。
野外で実験や観察をするときは、お家の人と一緒に行きましょう。
これから夏にかけては熱中症になりやすい時期です。
帽子、日焼け止め、水筒、塩分補給も、わすれないようにしましょう。
良い観察や実験をおこなうためには、安全に楽しく行なえる準備が重要です。