水辺に移動したら、安全な所で作業の準備を行います。

 先ほど集めた砂のバケツ(ブルー)から、別のバケツ(黄色)に少量の砂を移し、海水を8分目くらいまで入れてかき混ぜます。すると、砂に混ざっていたマイクロプラスチックが、浮き上がって来ます。この浮かび上がったプラスチックだけを、用意した1mm目のメッシュに流し入れます。

 

 1回海水ですすいだだけでは、全てのマイクロプラスチックが浮き上がらないので、プラスチックがうきあがらなくなるまで、この作業を3〜4回繰り返します。

 

 マイクロプラスチックが浮き上がらなくなったら、黄色のバケツの砂を捨て、またブルーのバケツから少量の砂を黄色のバケツに入れて、同じ作業を繰り返します。
 こうやって、1つの枠の中のマイクロプラスチックを全て集め終わるまでに、
1時間半以上もかかりました。 暑い中、とても大変な作業です。

 こうして集めたマイクロプラスチックは、研究室に持ち帰り、数や種類を記録します。マイクロプラスチックが多い場合、全てをより分けて計数するのに、1週間以上もかかるそうです。

 沖縄の海岸では、1平方メートルにマイクロプラスチックが平均で約2,041個あるそうなので、多い所には4,000〜6,000個以上も含まれているはず。気の遠くなるような作業です。

 山口先生は、これまで沖縄の11の島の57の海岸で調査を行なって来られました。そして、「沖縄でのマイクロプラスチック調査の所感」として、
1:海浜の土壌中には、海洋上よりも遥かに高い密度でマイクロプラスチックが漂着・混在している。
2:亜熱帯海洋性気候下の沖縄海浜域は、マイクロプラスチックの主要な生成・排出場となっている。
3:マイクロプラスチックの回収・除去は絶望的な作業。迅速且つ定期的な漂着ゴミ清掃が必要。
4:摂食による海生生物への汚染リスク(食物連鎖等)がある。全国的海岸調査への警鐘となる。
と言う事を示されています。

 海のマイクロプラスチックの回収・除去が絶望的な作業である以上、もうこれ以上マイクロプラスチックを増やすことはできません。プラスチックを野外に捨てないのはもちろん、不要な使い捨てのプラスチックは買わない・使わない・断る、無理のない範囲で自然素材の製品を選ぶなど、自分にできることを探して、暮らしの中からプラスチックを減らしていく事が私たちには求められています。