浦添・カーミージーの海では、西海岸道路の建設工事が進められています。

3月の浜下りから夏にかけて、本格的な海遊びのシーズンがやってくるわけですが、

困ったことに、工事現場近くでは海底の様子がずいぶん変化してきました。

新しく作られた構造物の影響で、砂地が深くえぐれたり、シルト(泥)が

溜まってきたりしています。

 

Nが、港川自治会長Mさんと一緒に歩いてみました。

 

海の中は春。モズクが育ってきています。

 

あ、リュウキュウスガモの葉の上に、緑色のクサイロカノコ。

沖縄県の準絶滅危惧種に指定されている巻貝です。

 

ソデカラッパがいましたよ。

 

水中の真正面像。ハサミの爪がかっこいいですねー。

…と、今日は楽しい写真はこれまで。

 

 

Mさんと一緒に工事現場近くへ行ってみます。

※一般の方は工事現場に近づかないでください。このあと順番に紹介しますが、

海底の様子が以前とは変化しており、危険です。

 

なぜ危険かというと、

こんなふうに、以前は見られなかった深みが広がっているのです。

工事が始まる前までは、ここは浅く、干潮時に子どもたちが歩いて渡れた場所です。

また、海底にシルト(泥)が溜まり、足をとられる感じになっています。

こんなところで転んで水を飲んでパニックになったら、簡単に溺れます

 

工事用の橋桁の近くまで来ました。

工事が始まり海底に鉄骨を打ち込むときに設置されていた汚濁防止膜は、

中央の土砂の盛り上がりの外側(写真の右側)にありましたが、今は撤去されています。

 

土砂の盛り上がりに切れ目があるのは、そこの膜の下が水抜きになっていたから。

…水が抜ける汚濁防止膜って、実は意味がよくわからないんですけれども…?1kao10.gif

 

そして、その内側は…歩くととんでもなくシルトが舞い上がります。

以前は砂地でしたが、今は泥っぽく、ぬるぬる。とても歩きにくいです。

 

足で掘ってみると、こんな感じ。まるで泥干潟のようですね。

こういう場所も、一歩足を踏み出すとズブッと泥にはまることがあります。

潮が完全に引いていればまだよいですが、海水が上にあると濁って海底の様子が

よく見えないので、足を取られやすく危険です。

おそらく、膜の内側で流れが淀み、鉄骨を打ち込む際などに出てきたシルトが

溜まっているように思われます。

そういう意味では、汚濁防止膜にも一定の効果があったと言えるのかもしれません。

流れが悪く泥が溜まると、少し掘った下は還元層の黒い砂泥になっていきます。

 

これだけ底質環境が変わると、砂地の海草藻場の生物は生きていけないでしょう。

このままであれば、この海岸ポイントは局所的に泥干潟の生物相に置き換わるかも

しれません。

 

太い鉄骨が打ち込まれているところを見てみると…

 

ものすごい大穴が開いています。周囲のぼさぼさは、海草がえぐられて枯れている様子。

もちろん、子どもたちがここに近づいたら危ないです。

 

土砂の盛り上がりが一筋あって、その内側はどろどろ、そして土砂のすぐ外側は

やっぱり少し深みになっています。

 

どれくらいかというと、大人の膝たけよりも深い感じ。ここも歩けません。

干潮時でこれですから、潮が満ちてきたときに岸に戻ろうとしてここにハマると危険です。

 

この深みのすぐ外側は、海草が生えている…ように見えるのですが、

手ですくってみると、茶色く枯れて腐っていました。

こうなると、次の台風が来たときには、砂がかなりえぐられるでしょう。

 

やはり、海辺に人工構造物を作るというのは、局所的とはいえ

環境にかなりの変化をもたらすものだなぁと、改めて思います。

 

深みよりさらに外側の海草藻場をよく見てみると…

不自然な生え方に気がつきますか?

 

工事現場を背にしてみればよくわかる。おそらくキャタピラの重機が通った跡。

汚濁防止膜を片付けたときの跡かもしれません。

まぁ、工事しているんだから仕方ないのかもしれないけれど…

 

もともと、この工事現場沿いの海岸は、潮汐の変化とともに海水が岸と平行に流れて

南から北へ、カーミージーの岩の方に抜けていく、水の通り道。

工事の影響で水の流れ方や土砂の堆積の仕方が変化して、こうした泥場や深みが

広がっているのだろうと思われます。

これまでここの海をよく知っていて、今年も海遊びや潮干狩りをしに来た人が、

「ここは浅くて通れたはず」と思って沖から最短距離を岸に戻ろうとすると、

こうした深みにぶつかってしまいます。

これはかなり迂回しないと戻れません。

 

 

自治会長のMさんは、工事を行っている主体の方に、危険箇所には看板やロープなどを

設置して注意を喚起し、事故が起こらないようにしてほしいと申し入れたそうですが、

返答は…「自分たちの管轄は工事現場内なので、その外側の海に関しては何かを

設置したりできない」だったそうです。

 

法的責任上は、そうなんでしょうね、きっと。

でも、海の水も、土砂も、人が決めた法律通りに、流れたり溜まったりしてくれる

わけではない。

そして、こうした環境の変化を引き起こしたのは、明らかに、工事の影響。

 

ここで工事そのものの是非を問うつもりはありません。

ただ、この海を潮干狩りなどで使う一般市民が多い中で、

これから海のシーズンを迎えるにあたって、

これまでとは海底の様子が変化して、危険箇所が生じていることを、知らせる

ということは当然行うべきなのでは…と思えてなりません。

 

少なくとも、私たちはせめてこの記事を通して伝えようと思いました。

みなさんはどう思いますか。

 

 

工事現場近くに不用意に近づかなければ、カーミージーの海のほとんどの部分は

これまでと同様の浅い砂地で海草藻場が広がっています。

岸からの出入りのルートには気をつけて、

潮の満ち引きにも気をつけて、

時間や装備に余裕を持って、

どうぞ、皆様が海での楽しい時間を安全にお過ごしくださいますように。