Nが学生時代に研究室でお世話になった、西島信昇先生。

ヨシノボリがご専門でしたが、河川生物全般について広い知見をお持ちでした。

学生にはあまり細かいことは言わず、「何でもどんどん仕事をしてみなさい」という、

良い意味で、昔ながらの大先生、という雰囲気だったそうです。

2003年に出版された西島先生監修の『琉球列島の陸水生物』は、

先生の退官記念論文集として、琉球の河川生物の研究者が総出で原稿を書いたもの。

極めて広範囲の淡水生物を網羅した検索図鑑であり、この編集作業の実務を

ほとんど任されたのが、かつての研究室に助手として戻って来た、Nでした。

 

様々な事情で遅れに遅れた編集作業がやっとまとまり、西島先生のお宅に伺ったとき。

先生はご病気で麻痺の残るお体を押してお会い下さり、

出版のご報告と、Nが大学を辞して新しい道に進むことの報告を聞き、

「ありがとう」と「がんばれ」という言葉をメモに書いて、

気持ちを伝えて下さいました。

 

2008年に私たちが作った『南城市 自然観察の手引き』に書いた『「もの」の見方』は、

Nが学生時代に西島先生に教わった内容です。

私たちは今、科学的なものの見方を子どもたちや学生に伝える時に、

よくこの話を使って説明しています。

 

その西島先生が、先月29日、亡くなられました。84歳。

晩年、不自由を抱えたお体から、解放されたと思っても良いのかもしれません。

今頃は、ご出身の波照間島に飛んで行っているかもしれませんね。

 

長い間、お疲れさまでした。どうもありがとうございました。

合掌。

 

今夜の三日月はとってもきれいです。