7月は、日差しが強くて暑い日や、強い雨が降る日もあり、プラスチックにとっては厳しい環境だったと思います。
実験セットをベランダから野外の草むらに移動させてからは、カタツムリの摂餌行動の影響が強く現れています。生物による物理的な破壊は、予想以上でした。これは同時に、石などの表面に生える微細な藻類を食べているカタツムリなどの生物の多くが、野外に捨てられたプラスチックを誤って食べていることも、示しています。

1月に実験を開始してから、すでに7ヶ月が経過しました。これは8月3日の写真です。

ポリプロピレンPPの白い荷造り紐はさらに劣化して、ふわふわのワタのようになって来ました。メラミン樹脂のスポンジのブロックは、表面がさらに劣化してきました。

ポリエステルの白いネットに包まれたポリウレタンのスポンジは、魚と一緒に食品トレーに入っていたウレタンのスポンジよりも、ずいぶん長持ちしています。これは、ネットが、雨や風による物理的な破壊と、カタツムリの摂餌による攻撃を、防いでいるからかもしれません。

食品トレーの表面が、カタツムリにかじられて、凸凹になっています。先月まではかじられた痕が付いてなかったので、紫外線等で表面が劣化して脆くなった結果、かじり取られたのかもしれません。先月の記録の最後の所に、「今はまだ表面が硬くて、カタツムリ類にかじられてしまうことがないプラスチックでも、やがて劣化が進めば、脆くなった表面部分はカタツムリに齧りとられてしまうかもしれません。そうなれば、マイクロプラスチックとして、直接動物の体内に取り込まれることになります。」と書いたことが、いきなり現実になりました。

こちらのグループは、紙コップと、ペットボトルのラベルがさらに劣化しました。

紙コップは、表面のプラスチック・コーティングがさらにかじられています。よく見ると、表面のコーティングがなくなった所は、カビが生えて黒くなっています。ペットボトルの本体には、目立った変化はありません。ラベルは、さらに割れて無くなっています。

瓶入りのグループは、先月に比べて目立った劣化は見られません。

今回改めて、生物によってプラスチックがどんどんマイクロプラスチックに変えられていることを実感しました。プラスチックを食べたカタツムリがどうなったのかも、気になります。身の回りの「物」の多くがプラスチックでできている現在、プラスチックを食べていない生き物の方が少ないのではないか?とさえ思えてきます。