毎月新月の旧暦1日更新・琉球新報Style「沖縄・海の生き物たち」
今回はカニの求愛行動!

カニが交接してる場面は時々見つけるけど、メスを探し歩いて見つけて求愛してる一連の場面は、なかなか見るチャンスがありません。

カニは、昆虫のようにお腹の先でつながって…の「交尾」はしません。
オスは、第4歩脚の付け根から、腹部(カニのフンドシ)にある脚(腹肢)が細いチューブ状に変化した交接器を通して、メスに精子を渡します。
メスは、第2歩脚の基部(胸部底面)に卵を産み出す生殖孔があり、この孔の内側には受け取った精子を貯める貯精嚢があります。
つまり、正面から向き合った状態で「交接」します。

普段、交接器も生殖孔も腹部でカバーされているので、カニをひっくり返しただけではこれらは見えません。
交接する時は、メスもオスも腹部を伸ばすかずらすかして、交接します。

タイワンガザミのオスをひっくり返したところ。 三角形の部分が腹部(カニのふんどし)。メスの腹部は幅広くて丸い。

精子を受け取ったメスは、卵を生みだしながら貯精嚢に保存してある精子で卵を受精させ、お腹の脚(腹肢)の毛に卵を付着させます。
ですから、後から交接したオスが、先に交接したオスの精子を貯精嚢から取り出す…なんて行動も知られています。
種類にもよりますが、貯精嚢の中の精子は、数ヶ月間生きているようです。

卵を抱いた、カクレイワガニのメス。

卵を産んだメスは、腹部で卵を抱えるようにして、幼生が孵化するまで世話をします。
これから夏にかけての梅雨時は、卵を抱いたメスがたくさん見られる季節です。

幼生を海に放しに来たオカガニのメス。 孵化直前の卵は海水に浸かると割れ、中からゾエア幼生が生まれる。