※「台風対策のまとめ」は こちらの記事 をご覧ください!
※「台風の風向き:本土編」は こちら!
すっかり台風ブログのようになってます。
台風15号 Bolaven。
沖縄本島の南部は、昨日はしばらく雲と雲の隙間にあったので
思ったよりもずっと静かだったのですが、夜になって暴風のピークが来ました。
その間は … やっぱり、結構強いなこれ!という印象。
北部の、目が通った付近や、進行方向右側の地域は大変だったと思います。
そのあと、 今日は一日、ずーっと台風が引きずる雲の中。
せっかくなので、台風の風向きについて考えてみましょうか。(次の授業ネタだなっ)
沖縄を通りすぎても、大陸と九州の間を塞ぐほど大きいですねー!
台風対策をするときに、暴風がどちらから吹くか、って結構重要な情報です。
台風は、衛星画像と進路予想を見ながら、風向きを予測する事ができます。
まず基本的に、
台風のまわりはどんな風が吹いているか。
描いてみました。
真ん中が台風の目だとしたら、
地上では、この目に向かって左回りに風が吹き込んで行きます。
風を自分の正面から受けるように立ったとき、
おおよそ右手の方向に、台風の目があります。
北半球にできる台風とハリケーン、サイクロンはこの向きです。
南半球にできるサイクロンは右回りです。
北半球と南半球で向きが変わるのは、コリオリの力?のせい。
で、目に向かって吹き込んで行くものの、
目には大きな雲の壁(eye wall)ができていて、ほぼぐるぐると回ります。
だから、目の回りでは、目の北側は東風、西側は北風、南側は西風、東側は南風、
のきわめて強い暴風が吹いています。
目を離れるに従って、風は中心に向かって吹き込む形になるので、
上の図のように、少しずつ向きがずれていきます。
実際の衛星写真を見た方が分かりやすいでしょう。
2012年8月25日の、台風15号の衛星画像です。
画像は、Joint Typhoon Warning Center (JTWC) より拝借。
台風が、まっすぐ北西方向に進んできたと仮定します。(進行方向:黄色い矢印)
すると、奄美大島や、沖縄本島北部の奥、南部の那覇では、
それぞれ 青い破線矢印 にあたる台風の雲の部分が通過する事になります。
名護は、ちょうど台風の目を通ります。
そうすると、名護では目が近づくまではずっと北東風を受け続け、
これがどんどん強くなり、猛烈になり、目に入ると風が一時的に止みます。
で、目を抜けたとたん、今度は正反対の猛烈な南西風を受けます。
これが「返し風」、沖縄では「けーしかじ」、と言って、
一方向になびいていた木々や看板などが、急激に正反対の風を受けて、
折れたり飛んで行ったりしやすいのですね。
だから返し風の時間帯は危ないです。
奄美大島は、青い破線矢印 の雲を通るので、
北東風 → 東風 → 南東風 → 南風
と風向きが変わって行きます。
このとき、台風の進行方向は「南東から北西へ」向かうので、
南東風を受けている時、風速には 台風自身の速度 が加わることになり、
より風が強まります。
台風の 進行方向の右半分 が、「危険半円」と呼ばれるゆえんです。
今回も、沖縄本島の南部よりは、本島の北側にある与論島や沖永良部島などの方が
影響が大きいのではないかと思います。
本島北部の奥では、
北東風 → 猛烈な東風・南東風・南風 → ずーっと南風
になるでしょう。
本島南部の那覇では、
北東風 → 北風 → 猛烈な北西風・西風 → ずーっと南西風
になりますね。実際、南部のうちの方はこんな感じでした。
台風も、画像の雲の分厚いところは風雨が強く、雲の隙間は弱まります。
そして画像に見える雲の流れの向きが、そこでの風向きです。
台風の進路予想図を見て、台風の衛星画像と組み合わせて考えると、
自分の地域がどんな風を受けそうか分かりますね!
とはいえ、もし台風の目の付近が通りそうな場合は、
目がどちら側を通るのかによって、風向きがずいぶん変わるので、
結局は、どの方向も大丈夫なように、対策をとっておくしかないのですけれども。
台風が、来てしまうのは仕方がない。
だからせめて、相手のことをよく知って、
被害がわずかで済むように、十分な準備をしておきたいですね。
こうした情報が、何かの参考になれば、幸いです。
もっと詳しいことは、ネットで調べるばかりじゃなくて、
図書館や本屋さんに並んでいる、気象・台風の本を見てねー!
コリオリの話なんかは、『海洋学』にも載ってます!(最後は宣伝。 )