夏休み真っ盛り。3shizen01.gif

ということは、小中学生とその親御さんを悩ませる、あの自由研究の季節です。

観察会でも、子どもたちより親御さんが熱心にメモを取っていたりして(笑)。

各地で行われる「自由研究イベント」には、1日でできる工作系のものも

たくさんあって、それはそれで良いですね。

 

でも、中には何かをじっくり観察したり、調べてみたい、という子どもたちもいます。

そして、まとめ方がよく分からない、という子(親も?)がわりと多いのかな、

と感じています。

 

なので、今日はちょっとだけ、まとめ方のコツを書いてみましょう。

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まず基本的に、

「自由研究なんだから、研究のしかたも、まとめ方も、何だって自由」

自分の思うように、好きなようにやってみれば良いと思います。これ基本。

 

ただ、もしそれがうまくまとまらなくて困っていたら、

これから書く内容は少し参考になるかもしれません。

 

ここでは、「自然や生き物の観察・実験」ということで考えてみます。

何か、不思議や疑問に思ったことがあって、

それを観察したり実験してみたいと思ったとします。

 

そのとき、まず最初に

1.「どうして自分は、それを不思議と思ったのか?」

これをまず、言葉にしてみてください。

子どもたちの興味や疑問の中心が、ここにあります。

子どもたちは、まだ的確な言葉が探せなかったり、知識も経験も少ないので、

本当の興味や疑問と、やろうとしていることがちぐはぐな場合もあります。

そのままにすると、自分のやっていることが分からなくなってきたり、

興味とずれてきたりして、なかなか続きません。

なので、ここをはっきりさせておけば、その興味の対象や疑問を中心にして

いろいろな方法を考えていくことができますね。

 

次に、2.「どうやってそれを観察・実験したか」を書いておきます。

実際に使う道具と、観察や実験の方法の説明です。

写真や絵を使って説明しても良いと思います。

あとでふり返る時に、ここの情報はとても大事になります。

 

そして、3.「自分が観察した内容や、実験した結果」を書きます。

ここには、自分の意見や思いは加えません。

なるべく客観的に、観察場所と日付や時間、実験したことの組み合わせとその結果、

事実として起きたこと、自分の目で見たことを書きます。

ここでも写真や、絵、データの図表などを使って表現すると

分かりやすくなると思います。

 

その後で、4.「観察や実験結果から、自分が分かったこと、考えたこと」を書きます。

自分の考えをどんどん広げていって構わない部分です。

1つ観察や実験をしたら、また新しい不思議や疑問が出て来ると思うので、

そうして思いついたこともたくさん書いておくと良いと思います。

 

できれば、5.「もし続きをするとしたら、どんなことをやってみたいか」

書いておくと、それを実際にはやらなくても、次の一歩への継続・発展が見えたり、

自分が今回やったことの位置づけみたいなものが分かって来ると思います。

 

最後に、6.「自由研究をやった全体の感想」があるといいですね。

自由研究という体験そのものが、子どもたちにとってどんな感じだったのか

ここで伝えてもらうと良いと思います。

 

 

この流れは、基本的に理系の研究者が書く研究論文と同じです。

大学の卒業論文や博士論文も、学術雑誌の論文も、基本的な体裁は一緒。

0.研究タイトル

1.はじめに(Introduction):研究の目的、なぜこの研究をするのか

2.材料と方法(Materials and Methods):研究の材料と方法

3.結果(Results):客観的な研究結果、得られたデータ

4.考察(Discussion):結果を受けて考えられること、今後の展望

5.謝辞(Acknowledgments):協力者への謝辞

6.引用文献(References):研究に際して調べて引用した文献リスト

だいたいこんな感じです。

自由研究もこの流れでまとめることができたら、立派な研究論文ですね!

 

1つ大事なことは、

もし観察や実験に失敗したとき、それも立派なデータのひとつだよ、ということ。

思い通りにいかないことはたくさんあります。その方が多いくらい。

失敗は、「その方法ではダメなことが分かった」ということであり、

次に進むためのステップのひとつです。ちゃんと結果に加えてくださいね。

 

それから、本や図鑑、インターネットでもいろいろ調べると思います。

もし自分で観察したり実験した結果と、本やインターネットに書いてあることが

違っていたら、どちらを信じますか?

 

…… そう、もちろん自分の目で見たことを信じてください。

何か方法や条件が違ったので結果が違ったのか、

それとも本やインターネットに載っていないことを発見したのか、

本やインターネットが間違っていたのか、いろいろな可能性があります。

 

子どもたちの調べものには、最初はなるべく本や図鑑をお勧めします。

専門の人が書いたものであれば、だいたい信用できますね。

理系の内容は、時代が新しくなると定説が変わったり新発見があったりするので、

できれば複数の本や図鑑を調べてみるとよいでしょう。

 

インターネットは、書いている人が匿名で専門家かどうか分からなかったり、

どこかの情報をそのままコピーして、間違ったまま流布していたりして、

大人でも、情報の信頼性を確認することが難しいです。

学会とか、大学の研究室などのサイトなら、まだ信用できるので、

参考にするなら、なるべく情報源を確認できる場所が良いでしょうね。

インターネットも、知りたい情報は複数のサイトで確認することが大事です。

 

最初に戻りますが、自由研究はやり方もまとめ方も自由です。

小中学生ですもの、研究論文のまとめ方にこだわる必要はありません。

でも、まとめ方に迷ったら、プロのまとめ方はやっぱり参考になると思います。

 

それくらいのつもりで、楽しい観察や実験をしてみてくださいね。

夏休み、身近な場所で、自然や生き物にふれあう時間をたくさん持ってくれると

それが一番うれしいです!?1kao02.gif