気候変動についてのニュースには、酷い災害の状況や、今までの暮らしを続けるとさらに大変なことになるよ…と言った話が多くて、気が滅入るし、できれば見ないふりをして、誰かが画期的な新技術を発明して解決してくれることを夢見たりします。

でも実は、すでに様々な技術は世界中にあって、あとは我々がそれに取り組むだけ
どんな活動から大量の温室効果ガスが出ているか知るだけでも、日々の暮らしが変わり、何を買わざるべきか、考えるようになります。

二酸化炭素やメタンなど、温室効果ガスを排出している分野はたくさんあるので、解決方法もたくさんあります。
コストもかからず、人にも自然にもやさしく、すぐにでも始められ、経済的にも効果が大きい方法が載ってます。
逆に、コストが嵩み、将来に悔いを残すけれど、とりあえずつなぎにはなる方法も示されています。
これは、この本が、「現実性の高いシナリオ」を考えているから。

「現実性の高いシナリオ」の他にも、2050年までに大気中に放出する二酸化炭素を正味マイナスに転じさせる(ヒトの活動によって放出される量より、自然が吸収する量が多くなる)レベルの、「ドローダウン・シナリオ」でのランク付けもあります。
両者で項目の順位は少し前後しますが、どちらもトップ10の項目はほぼ同じ。ざっくり言うと、太陽光や風力など自然エネルギーで発電し、全ての人に教育機会を与え、くらしの中の無駄をなくし、二酸化炭素を吸収する森や自然を増やし、健康な食生活に修正する。加えて、二酸化炭素の1,
000〜9,000倍の温室効果がある代替フロンの廃止と回収。
トップ10には入っていないけれど、土地に炭素を蓄積して環境も経済もよくなる農業や、建築の基準や方法の見直しによるエネルギーロスの低減なども、上位にあります。農地が元気になれば農薬代や肥料代も減り、作物の収量が増えて収入が増え、新たに森を切り開くことも減ります。森で牛を飼う方法もありますし、牛肉を食べる量を減らせば、肉牛飼育が減り、牛が出すメタンも減り、使わない牧場を森林に戻せます。

このように、温暖化ガスの排出を減らす方法は絡み合っているし、気候崩壊までの時間も残りわずかなので、トップ10だけでなく、考えられる全ての項目今すぐ取り組む必要があります。

浦添西海岸のサンゴ礁のイノーの海草藻場