これまで、炭素排出によって大気中に閉じ込められた熱の90%以上が海洋によって吸収され、さらに、炭素排出量の30%が海洋に吸収されています。
本書の海関係の項目の中に、沿岸湿地に蓄えられる炭素、
ブルーカーボンがあります。陸上の森林がグリーンカーボンと呼ばれるので、海のマングローブや海草藻場、海藻藻場はブルーカーボン。
「ドローダウン」によると、
・沿岸湿地は、長期的に見ると、熱帯林の5倍の炭素を貯留できる。
・大半は、湿地深部の土壌に蓄えられている。
・マングローブ林の土壌だけで、世界の排出量2年分と同等以上の炭素(220億トン)を蓄えられる可能性がある。
・世界の二酸化炭素排出量の約2.4〜4.6%は、海洋生物によって吸収されている。そのうちの少なくとも半分は、ブルーカーボン湿地で吸収されている。
・沿岸生態系の保全は、大気に利益をもたらし、生物多様性、水質、暴風雨からの防御を強化、現地の社会の権利と幸福を尊重するなど、全てを同時に果たせる可能性がある。

ちなみに沖縄では、マングローブ林や海草藻場は、サンゴ礁のイノーの内側に発達しています。特に海草藻場のブルーカーボンは重要で、ネットで「ブルーカーボン」を検索すると、海草についての炭素隔離の情報が多数見つかります。

横浜では、「横浜ブルーカーボン・オフセット制度」を独自に実施して、2019年度はクレジット総量: 259.6[t-CO2]を創出し、オフセット総量: 120.3[t-CO2]を実施しています。複数の企業がクレジットを創出する中で、横浜市としては、12.3[t-CO2]のクレジットを、「海の公園のアマモによる温室効果ガスの吸収・固定」により創出しています。つまり、海に海草が生えてるだけで、価値がある。

沖縄は森林(グリーンカーボン )が少ないし、車社会で、旅行には飛行機も使うのですから、イノーの内側に広がる海草藻場やマングローブ林の保全は、重要ですね。

恩納村の海草藻場で、海の環境学習 奥にはマングローブ林