先日、宮城島の観察会の時にいただいたオビブダイ。

持ち帰ってすぐにさばいたのですが、

生きもの好きとしては、やっぱり確認せずにはいられない。

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青い雄の、歯。くちばしのようですね。横っちょのとげがチャームポイント?

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雌の方はこんな感じ。

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お腹をさばいたら、じゃりっとした砂がたくさん出て来る。

ブダイ類は主に、死んだサンゴの表面に生えた藻類を、サンゴの岩ごとガリガリかじる魚。

だから、この歯は薄っぺらいようで実はとっても頑丈なのです。

サンゴ礁の白砂の何%かは、ブダイがかじって作るとも言われているんですよね。

 

ウロコを取り、身の方は3枚におろして美味しく頂き、アラは魚汁に。

で、煮て骨が外れやすくなったところで、

頭の部分から歯を抜き取ってみました。

雄の、上顎歯。左右に分かれます。

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こんな風になっていたんですねー。

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下顎歯は、これも左右2枚なんだけれども、煮てもはがれませんでした。

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これでサンゴをかじるのかー… 。

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実はブダイには、さらに面白い「歯」があります。

さばいて頭と身をはずしたときに、内臓はきれいに取り除いて洗ったはずなのに、

頭の方からまだ砂がたくさん出て来る。

喉の部分に、かじったサンゴ片をすりつぶすための「咽頭歯」という

第2の歯があって、その隙間に砂がたくさん残っていました。

ブダイであら煮を作るときは、この咽頭歯を頭の内側からはずしてよく洗っておかないと

おつゆがじゃりじゃりになっちゃいます!

 

で、はずした咽頭歯をきれいにしてみました。

上咽頭骨。左が前側です。

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組み合わせると、こんなです。

前側の歯が、ずいぶんすり切れていますね。

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それを受ける下咽頭骨 … これ裏返しなんですが、

何となく飛行機みたいでかっこいい。

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正しい向きはこっちです。このヤスリ状の歯の見事さよ!

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前側の歯がすり減っていて、後ろ側から新しい歯が出来て行くんですね。

 

組み合わせると、こうなります。

この上下の咽頭骨の歯の間で、噛み砕いたサンゴ片を細かくすり潰していきます。

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うまくできているもんだなぁ … と、生物の細部の作りには本当に感心してしまう。

 

頭骨もきれいに洗い出してみました。

あんなに大きいブダイの顔ですが、一般に魚の頭骨は顔の上半分だけ。

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普段はもっぱら「骨なし」無脊椎動物を見てばかりのMですが、

たまには骨を見るのも楽しい。

 

みなさんも、釣りをしたり、魚を丸ごと料理する機会があれば、

さばくついでに、骨を取り出してみると面白いですよ。3shizen30.gif